
形とかデザインとか、私が欲しい理想のイスって、売ってないんだよね。そりゃそうだよね。普通の大きさのイスじゃないと売れないもんね。
私の頭の中で出来上がってる理想のイスで座りたいな。


私の母は自宅で内職をやっていて、長時間イスに座って仕事をしています。私の母のお尻は、横幅が大きくずんぐりむっくりなお尻です。なのでホームセンターなどに売っているような
普通のイスの横幅のサイズでは合わないそうなんです。母はいつも自分の体型に合うイスを探していました。
私は母が「自分の体型に合うちょうどいいイスがない」という長年の悩みをもっていることを知りませんでした」
よくよく考えてみるとそりゃそうですよね。市販のイスは、標準的なサイズやデザインしか取り扱っていないですからね。
こだわりがある人は基本的にはオーダー家具屋さんなどで、イスを作ってもらうしか方法ぐらいしかないのですが、家具をオーダーすると値段も高そうだし
どこで頼めばいいかもわからないし、そもそもオーダー家具を作ってくれる会社がよくわからないし、値段もよくわからないし、結果的に頼まずに結果的にガマンすることになると思います。
そんなこんなでオーダー家具屋で家具作ってもらう人はめっちゃ少ない気がします。

そうと分かれば話は早い!良かったなオカン!俺が息子で(笑)
俺がオカンの理想のイスを作ってやるよ!!
多分だけどめっちゃ本格的でどこにも売っていない、オカン専用チェアになるよきっと!!
まぁでも実際に本格的なイスは作ったことないけど….できるかな?
そしてそれから母のリクエストというか、母が思う理想のイスのイメージを細かく聞いて、どんな風に製作していくか考えました。
それからしばらく時が過ぎて…
ジャジャーン!!結論出来ました!
ここで簡単に私の自己紹介させてください。
マサルと言います。家具作りを本業としている家具職人なんですが、フラッシュ家具と呼ばれる家具をメインで製作しているため、
結論というか完成品はこちら!!
ドン
こんな感じのイスになりました!!ローソファってやつですね!!
ではこれからこのイスが出来上がるまでの考え方やどんな感じでイスを作っていったのかを紹介していきます。
もくじです
1オカンの理想のイスがどんなものかを聞く。
まずはオカンの悩みの種でもある、オカンにとっての「ちょうどいいイス」とはどんなイス?ってところから探っていきます。
オカンから話を聞いた内容をまとめると
・ふところが深めな奥行きがある椅子。・仕事をするときに使うテーブルの高さが決まっているから、そのテーブルで仕事がしやすい理想の高さのイスがほしい。・頑丈で長く使いたい。・肘掛けと背もたれもほしい。
こんな感じのオカンの悩みというか、リクエストが見えて来ました。これらをクリア出来るイスができたら、オカンの喜ぶ顔が見れそうですね(^o^)
毎日、学生時代は弁当を作ってくれたりたくさん苦労をかけたからね。
世界に一つだけの「オカンのイス」作ってやんよ!
ぶっちゃけ本格的なイスを作ったことないんだけど(笑)
2寸法とデザインを決める
オカンの希望は、だいたいなんとなくわかった!高さとか奥行きとか、横幅とかもわかった!しかしだ!?デザインがわからん!!
なんとなくはイメージはあるんだけど、紙に書く技術がない!!「イス作るぞ!」って言うてもどんな形がいいんだ?
絵心とかまじでないんだよね(泣)椅子の作り方の本見たりとかグーグルで検索してみたけどなんか手が進まない。
最終的に考えて考えた結果、イスのデザインはパクることにしました(笑)
ゼロからデザインを決めたりパーツを考えたりできない無理無理!!!
なので、過去に工房見学させていただき一度お会いしたことのある栗原さんの過去に製作しているイスを参考にさせてもらっちゃおう!!
家具工房作家さんのホームページに掲載してあるイスのデザインを参考にさせていただいて、作ることに決めました!!
木工房シンプルの栗原さん!お久しぶりです!!イスのデザインをパクらせていただきました!!この場を借りてお礼を言わせていただきますm(_ _)m
ちなみに参考にさせていただいたイスが掲載されているホームページはこちら↓
3材料を決める

イスを作る材料を決めます。こちらの材料を使うことに決めました。
木材は、「ブナ」でいきます。(ビーチとも呼ばれます)
イスとしての強度もあり、ある程度の柔らかさも持ち合わせており、木材加工もしやすい材料です。
触った感じもしっとりというか、言葉では言い表せないんですが、ええとええとなんていうかちょうどいいです。俺、語彙力ないわぁ(汗)
4どうやって作る?

さてさて、色々と形のイメージができてきたんですけど、そういえばイスってどうやって作るんですかね?
イスを作ろう!!って思い立ったはいいんだけど、あれ?どうやって作るんだ?
私は家具職人ではあるんですが、普段メインで作っている家具は、「フラッシュ家具」と呼ばれる芯材をはしご状に組んで、合板と合板を張り合わせて制作していく感じの家具作りがメインなんです。ニトリなどの大手の家具屋さんで売られている家具のほとんどは、このフラッシュ構造の家具が多いのです。
私は普段はイスとかテーブルとか、ホゾとか伝統的な無垢材で作るような家具は、ほとんど作っていないんです。基礎的な事は、職業訓練校時代に習ってはいたんですが…
いやぁ困った。今更オカンに、作ったことないから無理そうだから、どっかで買ってくるよ。なんて、格好悪すぎて言えるわけない。
ちゃんとしたイスは仕事でも作ったことないしなぁ….ぶっちゃけよくわかりませんでした。だってちゃんと作ったことないんだもん!!って言いたかっただけです。
とは言うものの、私も家具職人でございます。職業訓練校で一年間修行もしたので、なんとなく作り方のイメージは、ぼんやりとあります。
多分必要な場所場所を原寸図を書いて、パーツをそれぞれ作っていく感じでできるはず!!そんなイメージで作っていきます。
全体のイメージを紙に書いて、細かい寸法や形を決めて、木材の接合方法を決めていきます!!
しっかり設計が出来たら、つくっていくぜい!!
ここで謝罪です。イスが出来上がるまでの様子をアップしたかったんてすけど全く記録残していません(泣)
実際の製作途中の写真が全然ないんです。申し訳ないです。
5 椅子にオイルを塗る

必要なパーツが出来たらパーツをドッキングさせて、イスの形にしたら、オイルを染み込ませていきます。オイルを塗る理由は、家具を長持ちさせるためです。
体に害のない自然派オイルが人気があるし、オススメです。私はよく蜜蝋(ミツロウ)ワックスをよく使っています!
6 完成
イスの座面は、イス本体とは別物で制作しました。
お尻に当たる部分だけは木材よりもクッション性のある素材が良かったので、適当な材料に
ウレタン素材の綿の生地を敷いてガッチリ固定すれば完成です!!
どうですか?私が作った初めてのオカンの専用のイス。
当時勤めていた木工会社の社長に頭下げて仕事の休憩時間や、休みの日に作業場を使わせてもらいちょこちょこと制作しました。
制作時間は、トータルで5日ぐらいだったかな。
7数年経ったその後のイスの状況
令和2年12月現在。実はこのイスを作ってから数年が経っています。
撮影当時、私は足の親指を骨折していました(汗)当時4歳の息子にタックルかまされて転倒してしまいました。いい思い出です。
そしてこのイスは今も我が家の実家でオカンやオトンや親戚の子供達が座っています。あの時頑張って作った思い出がよみがえります。